A24「テレビの中に入りたい」公開、謎の番組にのめり込んだ若者が自分探しにもがく

A24製作映画「I Saw the TV Glow」が、「テレビの中に入りたい」の邦題で9月26日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開される。配給はハピネットファントム・スタジオが担う。

第74回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品された本作は、1990年代のアメリカ郊外を舞台に“自分探し”にもがく若者たちの姿を描いたメランコリックスリラー。謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」をきっかけに出会ったオーウェンとマディは、次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていく。しかしある日マディは去り、1人取り残されるオーウェン。彼は自分が何者なのか知りたい気持ちと、それを知ることへの恐怖とのはざまに立たされる。

「名探偵ピカチュウ」「ジュラシック・ワールド／新たなる支配者」のジャスティス・スミスがオーウェン、「ダウンサイズ」のジャック・ヘヴンがマディを演じたほか、ヘレナ・ハワード、リンジー・ジョーダン（スネイル・メイル）がキャストに名を連ねる。監督はジェーン・シェーンブルンが務めた。YouTubeでは予告編が解禁。日本オリジナル版ポスターのデザインを担当した大島依提亜、イラストを手がけた雪下まゆのコメントは下記にまとめた。

映画「テレビの中に入りたい」本予告

大島依提亜 コメント

映画好きならピンとくるであろう80～90年代の映画への目配せも感じる本国のビジュアルに加えて、卓越した画力もさることながら、この映画に共鳴するかのような作品を発信し続けている雪下まゆさんの絵と、二つで一つのポスターで構成したい。初見で観ている時に思ってました。幸運にも雪下さんにご快諾頂き、見事にこの映画の世界観を表現して下さいました。

映画に限らず世界が“強い物語”を求められているこの時代において、取りこぼされてしまった無数の小さくて大切な何か。それら全てが、暗闇に淡く──しかし虹彩の輪郭をくっきりと浮かび上がらせては爆ぜるシャボン玉のようなこの映画に心を撃ち抜かれました。今年パワフルな映画を浴びてきた人にこそ観てほしい傑作です。

雪下まゆ コメント

10代の頃の自分は、周囲にうまく馴染めず、絵を描くことに逃げ場を求めていた。
この映画は、当時の自分のような若い世代や、似たような青年時代を過ごした大人にこそ観てほしいと思った。
歳を重ね、周囲に擬態する術を身につけた自分を、主人公に重ねて観ていた。